全国で最速の人口減少も、「あきたにはBがある!」

全36クラブ中4位の集客力、「楽しかった、また来よう」と思う会場づくり

 少子高齢化の影響が大きい東北地方にあって、より深刻なのが秋田県だ。全国で最も速いペースで少子高齢化が進み、今年4月には東北で唯一、人口がとうとう100万人を切ってしまった。しかし、そんな逆風をモノともせず、リーグでもトップクラスの集客力を誇るプロスポーツチームがある。男子プロバスケットボールのBリーグに所属する、秋田ノーザンハピネッツのことだ。

 「あきたにはBがある」。そんな合言葉の下、秋田ノーザンハピネッツは地元から熱烈な支持を集める。ホームタウンは秋田市を中心とした県全域。2016年発足のBリーグでは、初年度の2016-17シーズンに9万人の来場者数を達成。全36クラブ中4位の集客力を誇る。10代以下の子どもから60代以上の高齢者まで幅広い世代に浸透する。

 運営会社の秋田ノーザンハピネッツは2009年の設立。bjリーグの2010―11シーズンから参戦している。同社を率いるのが水野勇気社長。留学先のアメリカとオーストラリアで見たプロスポーツチームのあり方が、原点となった。

 これらの国では町ごとにスポーツチームが存在し、エンターテイメントとして地元の人々を楽しませていた。そのような地域の拠り所となるようなスポーツチームを秋田でも目指した。

 水野社長自身は東京出身だが、秋田市内にある国際教養大学に進学したのを機に移住。ただ秋田県は「どこか元気がない」という印象を持っていた。

 そんな地域を活性化するのがスポーツ。留学時に抱いた「スポーツを通じて地域に新しい楽しみを提供できるのではないか」という気持から、帰国後は秋田初のプロスポーツチーム立ち上げに奔走した。

高校バスケの強豪も


 秋田県と言えば、やはりバスケットボールだろう。全国優勝タイトル数が高校最多の58回という、高校バスケットボールの圧倒的な強豪、能代工業高校はあまりにも有名だ。

 地域には古くからバスケットボールを愛する土壌があり、雪深い冬季も活動でき、集客を見込める屋内スポーツというのも好都合。秋田県でスポーツチームを立ち上げるとしたら、バスケットボール以外にはありえなかった。

 日本のプロスポーツでは野球、サッカーと比べまだまだマイナー感があるバスケットボールだが、秋田県に限っては「地元でのチームの知名度は9割を超える」(水野社長)。もちろん新たなファンの取り込みに向けた地道な広報、地域貢献活動も欠かさない。

 地元紙やローカル局とのつながりを重要視し、選手のメディア露出を増やしているほか、選手やスタッフを地域の小学校や祭り、スポンサー企業のイベントなどにも派遣。地域住民と直接ふれあう機会を大切にしている。

 今年の7月末に県内が記録的豪雨に見舞われた際には、床上浸水の被害を受けた家屋の土砂を取り除くボランティア活動にも取り組んだ。
選手やスタッフが地域の小学校などを訪問する

今期の目標は10万人動員


 B1リーグで戦った昨シーズンは残留プレーオフで敗れ、今年9月末から始まるシーズンは2部リーグで戦うことになる。水野社長は「まずはB2リーグで優勝し、1年で昇格する」と力を込める。

 Bリーグが掲げるリーグの使命の一つに「エンターテイメント性」がある。「勝つことはもちろん重要。ただ、負けたとしても『楽しかった、また来よう』と思わせる会場づくりをすることが大切」と水野社長は説く。

 「昨シーズンはなかなか勝てなかったが、集客は伸びている。このまま集客を減らさず成長し、今シーズンは年間10万人の動員を目指す」(同)。すでに秋田県では欠くことができない存在となっている。
「スポーツを通じて地域に新しい楽しみを」(水野社長)


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明 豊

明 豊
08月22日
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日本人初のNBAプレーヤー、田臥勇太も能代工業出身(横浜生まれらしいけど)。地元出身のスターが地元のチームで活躍するサイクルが回り始まるのが一番よい。

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