7年前に「サマータイム」を導入した第ニ地銀、人件費はいくら下がった?

みなと銀、残業減り4000万円。地域への波及効果も期待

 就業の開始と終了を早める「サマータイム(夏時間)」。最近は政府が旗を振る「働き方改革」の一つとして、企業の関心が高まっている。そんな中、神戸市に本店を構えるみなと銀行が、サマータイムの定着に積極的だ。導入して7年目。業務効率化などに一定の成果が出ている。働き方改革を地域で進める好例と言えそうだ。同行の取り組みを追った。

 みなと銀行はサマータイムを毎年8月に実施している。2011年から全従業員を対象に導入。残業時間を短縮するなどの成果があった。サマータイムが定着することで働き方改革に関連したほかの制度も、業務の効率化や合理化といった成果が出やすくなっているという。10月から新たな制度を実施し、効果を検証する計画だ。

 同行はサマータイム期間中、始業と終業時間をそれぞれ30分繰り上げ8時10分、16時30分に設定する。導入当初は従業員から、業務の効率が落ちたりサービスが低下したりすると懸念の声が上がった。だが、回を重ねるごとに事前準備をするなど「サマータイムに向けた工夫がされるようになった」(近藤智彦常務)。従業員の意識は着実に変化している。

 就業時間の前倒しを指示するだけでなく、サマータイムが浸透する“ソフト”として、従業員の余暇活動や健康増進の支援を充実している。15年に「ウオーキング・キャンペーン」、博物館や水族館などの優待券の進呈を開始。17年は従業員向けレクリエーションを拡充し、確定拠出年金の運用に関するセミナーなどを開いて、技能や知識の向上を促している。

 効果は数値にも表れている。実施前の10年8月と比べ、16年8月は従業員1人当たりの平均残業時間は約1時間30分短縮。それに伴い4000万円程度の人件費削減につながった。同行全体の電気代も、実施前より約3割減ったという。

 今後はサマータイム以外の働き方改革の検証と導入を進める。10月からは、本店の一部の部署で「朝型勤務制度」を導入。18年4月には各支店に適用する方針だ。また、海外市場の業務に携わる市場金融部の行員に、「時差出勤制度」を17年10月から実施。他部署への展開も検討する。

 18年1―2月には全従業員を対象に、期間内の金曜日に有給休暇取得を推奨する「フライデー休暇」の実施も検討している。19年度までに、1人当たりの平均有給休暇取得日数を現在の約9日から約11日に引き上げる方針。近藤常務は「それぞれの立場や生活スタイルにあった働き方の実践で、さらなる活躍を期待したい」と、各制度の定着に向け施策を進める。
(文=神戸・川合良典)

日刊工業新聞2017年8月17日

日刊工業新聞 記者

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08月21日
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地域に広く拠点を置く企業の働き方が変わることは、周辺地域にも影響を与える。従業員の仕事に対する向き合い方だけでなく、消費といった地域経済にも好循環を生む起爆剤となりそうだ。
(日刊工業新聞神戸総局・川合良典)

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