宇宙から発見!遺跡発掘。衛星利用しピラミッド・始皇帝陵を解析

 遺跡や遺物の発掘から過去の先人の生活や変化などを研究するのが考古学。これまで発掘は考古学者の経験と勘に頼ってきた。その経験と勘を、宇宙にある衛星の画像データで補う学問分野が注目されている。文献研究や実地調査に加え、衛星データを利用した地球観測技術「衛星リモートセンシング技術」(衛星リモセン)を使う「宇宙考古学」の発展により、歴史に埋もれた謎の解明が進むかもしれない。(冨井哲雄)

東海大など、文理融合加速


 衛星リモセンは環境や災害、資源探査などさまざまな分野で利用されている。東海大学情報技術センターの惠多谷雅弘事務長らは、衛星リモセンによる科学的なデータを駆使し、遺跡の候補地の絞り込みや遺跡の謎を解く研究を行う。米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「ランドサット」や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」などが撮影した画像データを使う。
だいち(JAXA提供、イメージ)

 光学画像なら地上を直接観察できるが、砂漠の中に埋まった遺跡ではそうはいかない。そのため砂漠の下を見られる砂を透過するレーダーが有効になる。レーダーなら夜中や曇りなどの悪天候でも有効だ。光学センサーとレーダーの長所をうまく組み合わせ、状況に応じて使い分けることが分析には必要だ。

貴族の墓発見


 遺跡と言えばエジプトのピラミッドが有名だ。実は世の中には未発見のピラミッドが多数存在している可能性がある。ピラミッドと言えば、巨大な四角すいの形を思い浮かべるが、「実際には上部がなくなり、砂の中に埋もれている可能性がある」(惠多谷事務長)。

 1994年、東海大と早稲田大学エジプト学研究所は衛星データを利用し、エジプトの未知のピラミッドを探すプロジェクトを開始。既知の遺跡の分布の特徴などを衛星画像で確認し、未発見の遺跡の候補地を絞り込んだ。

 衛星の画像データで遺跡の目星をつけてからが本番。東海大の惠多谷事務長は「本当に遺跡があるかないかは現場に行き確かめるしかない」と現地での検証の重要性を強調する。

 現地調査と発掘の結果、カイロの南40キロメートルにあるダハシュールで紀元前1400年ごろのエジプト王朝の「トゥームチャペル」と呼ばれる貴族の墓の遺跡を発見した。

 衛星データを使った遺跡探査でエジプト王朝時代の大型遺跡の発掘は初めてだ。研究グループは同遺跡を含め4カ所の遺跡の発見に成功した。

<続きは日刊工業新聞電子版にてお読みいただけます>

日刊工業新聞2017年8月17日

昆 梓紗

昆 梓紗
08月17日
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民間企業の宇宙事業参入が活発化し、衛星を使った調査がさまざまな業界に広がっています。しかし宇宙と遺跡が結びつくのはなんともロマンを感じます。

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